立ち向かう振りの妄想癖

読んだ本の感想を雑に放ります(ミステリ多め)。超不定期更新です。

2024-01-01から1年間の記事一覧

2024年を振り返って

今年は忙しくて、あまり本を読む時間が作れなかった......。去年に引き続き文学作品を読めたことは良かったが、褒めるべき点がそれくらいしかない。 純文学は当たり外れが大きいイメージだったが、思っていたよりは当たりと出会えた印象。『檸檬』では本当に…

『冬季限定ボンボンショコラ事件』 米澤穂信

内容(amazonより引用) 小市民を志す小鳩君はある日轢き逃げに遭い、病院に搬送された。目を覚ました彼は、朦朧としながら自分が右足の骨を折っていることを聞かされる。翌日、手術後に警察の聴取を受け、昏々と眠る小鳩君の枕元には、同じく小市民を志す小…

『巴里マカロンの謎』 米澤穂信

内容(amazonより引用) ここにあるべきではない四番目のマカロンの謎、マスタードが入った当たりのあげパンの行方。なぜかスイーツがらみの謎に巻き込まれがちな、小鳩君と小佐内さんの探偵行。「小佐内先輩が拉致されました! 」「えっ、また」?お待たせし…

『ことり』 小川洋子

内容(amazonより引用) 人間の言葉は話せないけれど、小鳥のさえずりをよく理解し、こよなく愛する兄と、兄の言葉を唯一わかる弟。小鳥たちの声だけに耳を澄ます二人は、世の片隅でつつしみ深く一生を生きた。やさしく切ない、著者の会心作。 ことり (朝日…

『ぼくは化け物君は怪物』 白井智之

内容(amazonより引用) 「本格ミステリ・ベスト10」2年連続1位! ランキングを席巻する鬼才の最新短編集! クラスメイト襲撃事件を捜査する小学校の名探偵。滅亡に瀕した人類に命運を託された“怪物”。郭町の連続毒殺事件に巻き込まれた遊女。異星生物のバラ…

『晩年』 太宰治

内容(amazonより引用) 太宰文学の可能性の萌芽がすべて収められた、第一創作集 妻の裏切りを知らされ、共産主義運動から脱落し、心中から生き残った著者が、自殺を前提に遺書のつもりで書き綴った処女作品集。“撰ばれてあることの 慌惚と不安 と二つわれに…

『正体』 染井為人

内容(amazonより引用) 埼玉で二歳の子を含む一家三人を惨殺し、死刑判決を受けている少年死刑囚が脱獄した! 東京オリンピック施設の工事現場、スキー場の旅館の住み込みバイト、新興宗教の説教会、人手不足に喘ぐグループホーム……。様々な場所で潜伏生活を…

『六法推理』 五十嵐律人

内容(amazonより引用) 現役弁護士作家が放つ、青春リーガル・ミステリ! キャンパスの片隅で無料の法律相談所を開いている古城のもとに、経済学部の戸賀がやって来た。下宿先の怪現象に悩んでおりその正体を探ってほしいと言う。古城は事故物件の規制を踏ま…

『ハーモニー』 伊藤計劃

内容(amazonより引用) 21世紀後半、〈大災禍(ザ・メイルストロム)〉と呼ばれる世界的な混乱を経て、 人類は大規模な福祉厚生社会を築きあげていた。 医療分子の発達で病気がほぼ放逐され、 見せかけの優しさや倫理が横溢する“ユートピア"。 そんな社会に倦…

『あとかた』 千早茜

内容(amazonより引用) 実体がないような男との、演技めいた快楽。結婚を控え“変化”を恐れる私に、男が遺したもの(「ほむら」)。傷だらけの女友達が僕の家に住みついた。僕は他の男とは違う。彼女とは絶対に体の関係は持たない(「うろこ」)。死んだ男を…

『ガラスの街』 ポール・オースター

内容(amazonより引用) 「そもそものはじまりは間違い電話だった」。深夜の電話をきっかけに主人公は私立探偵になり、ニューヨークの街の迷路へ入りこんでゆく。探偵小説を思わせる構成と透明感あふれる音楽的な文章、そして意表をつく鮮やかな物語展開――。…

『十月の旅人』 レイ・ブラッドベリ

内容(amazonより引用) ブラッドベリの初期作品群から甘美で詩情漂う10の佳篇を精選した日本オリジナル短篇集 十月の旅人 (ハヤカワ文庫SF) 作者:レイ・ブラッドベリ 早川書房 Amazon 感想(ネタバレなし) ブラッドベリのマイナーめの短編を集めた作品集..…

『#真相をお話します』 結城真一郎

内容(amazonより引用) 私たちの日常に潜む小さな"歪み"、あなたは見抜くことができるか。 家庭教師の派遣サービス業に従事する大学生が、とある家族の異変に気がついて……(「惨者面談」)。不妊に悩む夫婦がようやく授かった我が子。しかしそこへ「あなたの…

『なぜ働いていると本をよめなくなるのか』 三宅香帆

内容(amazonより引用) 「大人になってから、読書を楽しめなくなった」「仕事に追われて、趣味が楽しめない」「疲れていると、スマホを見て時間をつぶしてしまう」……そのような悩みを抱えている人は少なくないのではないか。「仕事と趣味が両立できない」と…

『李陵・山月記』 中島敦

内容(amazonより引用) 幼児よりの漢学の素養と、西欧文学への傾倒が結実した芸術性の高い作品群。 中国の古典に素材を仰いだ短編4作は、夭折した著者の代表作である。 人はいかなる時に、人を捨てて畜生に成り下がるのか。中国の古典に想を得て、人間の心…

『まず牛を球とします。』 柞刈湯葉

内容(amazonより引用) 牛は食べたいが、動物は殺したくない。そんな人類の夢が実現した未来を描いた表題作ほか、大正電気女学生、石油玉、現代の箱男などが大活躍! 非人類にもおすすめの奇想天外な作品集。 まず牛を球とします。 作者:柞刈湯葉 河出書房…

『カミサマはそういない』 深緑野分

内容(amazonより引用) 変な予感がするんだ。扉の向こうで、何か恐ろしいものが、僕を待っている気がして――。 目を覚ましたら、なぜか無人の遊園地にいた。園内には僕をいじめた奴の死体が転がっている。ここは死後の世界なのだろうか? そこへナイフを持っ…

『愛する人達』 川端康成

内容(amazonより引用) 母の死後、母の初恋の人、佐山に引きとられた雪子は佐山を秘かに慕いながら若杉のもとへ嫁いでゆく――。雪子の実らない恋を潔く描く『母の初恋』。さいころを振る浅草の踊り子の姿を下町の抒情に托して写した『夜のさいころ』。他に『…

『ラウリ・クースクを探して』 宮内悠介

内容(amazonより引用) 1977年、エストニアに生まれたラウリ・クースク。コンピュータ・プログラミングの稀有な才能があった彼は、ソ連のサイバネティクス研究所で活躍することを目指す。だがソ連は崩壊し……。歴史に翻弄された一人の人物を描き出す、かけが…

『秋期限定栗きんとん事件』 米澤穂信

内容(amazonより引用) ぼくは思わず苦笑する。去年の夏休みに別れたというのに、何だかまた、小佐内さんと向き合っているような気がする。ぼくと小佐内さんの間にあるのが、極上の甘いものをのせた皿か、連続放火事件かという違いはあるけれど……ほんの少し…

『砂嵐に星屑』 一穂ミチ

内容(amazonより引用) 舞台は大阪のテレビ局。腫れ物扱いの独身女性アナ、ぬるく絶望している非正規AD……。一見華やかな世界の裏側で、それぞれの世代にそれぞれの悩みがある。つらかったら頑張らなくてもいい。でも、つらくったって頑張ってみてもいい。人…

『方舟』 夕木春央

内容(amazonより引用) 9人のうち、死んでもいいのは、ーー死ぬべきなのは誰か? 大学時代の友達と従兄と一緒に山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った三人家族とともに地下建築の中で夜を越すことになった。翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさ…

『(霊媒の話より)題未定』 阿部公房

内容(amazonより引用) やがて世界に名を馳せることとなる作家、安部公房。その思想の萌芽を鮮烈に伝える初期短編集。 太平洋戦争末期、満州で激動の日々を過ごした青年は、その時何を思い、何を未来に残したのか――。漂泊民の少年が定住を切望する19歳の処…

『夏の終わりに君が死ねば完璧だったから』  斜線堂有紀

内容(amazonより引用) 最愛の人の死には三億円の価値がある――。壮絶で切ない最後の夏が始まる。 片田舎に暮らす少年・江都日向(えとひなた)は劣悪な家庭環境のせいで将来に希望を抱けずにいた。そんな彼の前に現れたのは身体が金塊に変わる致死の病「金塊…

『万葉と沙羅』 中江有里

内容(amazonより引用) 実は、まわり道は一番近いのだ。 傑作青春小説がついに文庫化! 中学で友人関係に苦しみ不登校だった沙羅が選んだのは通信制高校。そこで再会した幼なじみの万葉は、古本屋でアルバイトする青年。「本という宝を探すにはコツがいる」…

『夢伝い』 宇佐美まこと

内容(amazonより引用) 孤独を愛する人気作家が突然の断筆宣言。担当編集者は作家の住む地方へひとり、向かった。作家を脅かすものを探しに――(「夢伝い」)。地球に近づいてきた惑星、現れた女遍路――。四国に戻って来た私は、40年前の午後を思い出していた(…

『夏への扉』 ロバート・A・ハインライン

内容(amazonより引用) ぼくの飼い猫のピートは、冬になるときまって「夏への扉」を探しはじめる。家にあるドアのどれかひとつが、夏に通じていると固く信じているのだ。そして1970年12月、ぼくもまた「夏への扉」を探していた。親友と恋人に裏切られ、技術…

『千年ジュリエット』 初野晴

内容(amazonより引用) 文化祭の季節がやってきた! 吹奏楽部の元気少女チカと、残念系美少年のハルタも準備に忙しい毎日。そんな中、変わった風貌の美女が高校に現れる。しかも、ハルタとチカの憧れの先生と何やら親しげで……。 千年ジュリエット (角川文庫)…

『真夏の死』 三島由紀夫

内容(amazonより引用) 伊豆今井浜で実際に起った水死事故を下敷きに、苛酷な宿命とそれを克服した後にやってくる虚しさの意味を作品化した「真夏の死」をはじめ、文壇へのデビュー作ともいうべき「煙草」、レスビアニズム小説の先駆的な作品「春子」、戦後…

『夏休みの空欄探し』 似鳥鶏

内容(amazonより引用) 会員が2名しかいないクイズ研究会会長の高校2年生・成田頼伸(ライ)は、クラス内で「じゃない方」と呼ばれている。ライと同じ姓で、ダンス同好会に所属する人気者・成田清春(キヨ)がいるからだ。クラスで「成田君」といえば、キヨのこ…