立ち向かう振りの妄想癖

読んだ本の感想を雑に放ります(ミステリ多め)。超不定期更新です。

『エレファントヘッド』 白井智之

内容(amazonより引用)

本格ミステリ大賞受賞の鬼才が仕掛ける、空前絶後の推理迷宮。

精神科医の象山は家族を愛している。だが彼は知っていた。どんなに幸せな家族も、たった一つの小さな亀裂から崩壊してしまうことを――。やがて謎の薬を手に入れたことで、彼は人知を超えた殺人事件に巻き込まれていく。

謎もトリックも展開もすべてネタバレ禁止!
前代未聞のストーリー、尋常ならざる伏線の数々。
多重解決ミステリの極限!

 

 

感想(ネタバレなし)

※以下はネタバレ箇所を隠した感想です※

『はらわた』『いけにえ』と、グロ要素を薄めた作風で大傑作をものし、本作もあらすじだけを見てその流れを汲んだ作品かと勘ぐったが、お門違いも甚だしかった。
いつも通り、いやいつも以上に頭がおかしい。

ネタバレを抜きにして抽象的な表現に留めて言うと、展開の仕方が凄まじい。
頭で思い描いていた物語には絶対ならないし、何度驚嘆したか憶えていられないくらいに翻弄された。

ではそれが完全に無軌道かと言えば、全くそうではない。
何故なら、白井智之の創る世界は、論理が絶対の支配者だからだ。

○○なんて異常にもほどがあるのに、その上出てくる推理がまぁ奇想の極みだし、伏線の量も夥しい。

最後に明かされるトリックなんかもう、言葉を失ったね。
その想像力と、人でなし具合に。

これは評価されて当然の出来だし、これが賞レースで受け入れられるのが本格ミステリというジャンルの公平さに違いない。
しかし、世の倫理に真っ向から中指を立てているので、広くは受け入れられないだろう。寧ろ受け入れられるような世の中はおかしいまである。
ただ、この鬼才が好き勝手に進む行く末を、どこまでも見届けたい。
そう思わずにはいられないのだ。

 

評価:9点

2024/3/10 読了

 

以下、ネタバレ箇所を含めた感想

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

感想(ネタバレあり)

『はらわた』『いけにえ』と、グロ要素を薄めた作風で大傑作をものし、本作もあらすじだけを見てその流れを汲んだ作品かと勘ぐったが、お門違いも甚だしかった。
いつも通り、いやいつも以上に頭がおかしい。

ネタバレを抜きにして抽象的な表現に留めて言うと、展開の仕方が凄まじい。
頭で思い描いていた物語には絶対ならないし、何度驚嘆したか憶えていられないくらいに翻弄された。

ではそれが完全に無軌道かと言えば、全くそうではない。
何故なら、白井智之の創る世界は、論理が絶対の支配者だからだ。

平行世界の自分同士による推理合戦なんて異常にもほどがあるのに、その上出てくる推理がまぁ奇想の極みだし、伏線の量も夥しい。

最後に明かされるトリックなんかもう、言葉を失ったね。
その想像力と、人でなし具合に。

これは評価されて当然の出来だし、これが賞レースで受け入れられるのが本格ミステリというジャンルの公平さに違いない。
しかし、世の倫理に真っ向から中指を立てているので、広くは受け入れられないだろう。寧ろ受け入れられるような世の中はおかしいまである。
ただ、この鬼才が好き勝手に進む行く末を、どこまでも見届けたい。
そう思わずにはいられないのだ。

 

下線部がネタバレ箇所です