立ち向かう振りの妄想癖

読んだ本の感想を雑に放ります(ミステリ多め)。超不定期更新です。

『しおかぜ市一家殺害事件あるいは迷宮牢の殺人』 早坂吝

内容(amazonより引用)

 女名探偵の死宮遊歩は迷宮牢で目を覚ます。姿を見せないゲームマスターは「六つの迷宮入り凶悪事件の犯人を集めた。各人に与えられた武器で殺し合い、生き残った一人のみが解放される」と言うが、ここにいるのは七人の男女。全員が「自分は潔白だ」と言い張るなか、一人また一人と殺害されてゆく。生きてここを出られるのは誰なのか? そしてゲームマスターの目的は?

ふたつの事件の交点が見えたとき、世界は反転する。
読者を挑発し続ける鬼才の超絶技巧ミステリ!

 

 

感想(ネタバレなし)

※以下はネタバレ箇所を隠した感想です※

概要からも分かるように、意欲的な作品。
タイトルにある通り、一家殺害事件が描かれるのだが、これがまぁ凄惨。
異常者のモノローグが嫌にリアルで、その人格破綻した心理に抵抗を示して、リタイアする読者も少なくないだろう。

一方のデスゲーム要素は、言ってしまえば王道的。
閉鎖空間でゲームマスターが武器を配り、殺し合いを強要するよくあるプロット。
ライトノベル的なノリでガンガン進み、ネット用語が飛び交うので好き嫌いが分かれるだろう。僕も正直キツかった。
その上解決編の段に入っても、察せるトリックか苦しめのトリックがほとんどで、うーん今回はハズレかな、と思っていた。

......舐めすぎていた。早坂吝を。
全てが作者の掌の上でしかなく、大量の伏線と大胆な趣向に大いに驚かされた。
特に○○が絶妙。

毎度の如く、事細かにタネを明かしてくれるのが親切であり、かつ嘲笑われているようでクソ腹立つ。
く゛や゛し゛い゛。......でも面白い。

かなり癖は強いが、それを補って余りある傑作。
やっぱミステリは最後まで読まなきゃ分からんぜ。

 

評価:9点

2023/11/29 読了

 

以下、ネタバレ箇所を含めた感想

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

感想(ネタバレあり)

概要からも分かるように、意欲的な作品。
タイトルにある通り、一家殺害事件が描かれるのだが、これがまぁ凄惨。
異常者のモノローグが嫌にリアルで、その人格破綻した心理に抵抗を示して、リタイアする読者も少なくないだろう。

一方のデスゲーム要素は、言ってしまえば王道的。
閉鎖空間でゲームマスターが武器を配り、殺し合いを強要するよくあるプロット。
ライトノベル的なノリでガンガン進み、ネット用語が飛び交うので好き嫌いが分かれるだろう。僕も正直キツかった。
その上解決編の段に入っても、察せるトリックか苦しめのトリックがほとんどで、うーん今回はハズレかな、と思っていた。

......舐めすぎていた。早坂吝を。
全てが作者の掌の上でしかなく、大量の伏線と大胆な趣向に大いに驚かされた。
特に章題の付け方が絶妙。定期連載なら、そう表記するもんな......!

毎度の如く、事細かにタネを明かしてくれるのが親切であり、かつ嘲笑われているようでクソ腹立つ。
く゛や゛し゛い゛。......でも面白い。

かなり癖は強いが、それを補って余りある傑作。
やっぱミステリは最後まで読まなきゃ分からんぜ。

 

下線部がネタバレ箇所です