立ち向かう振りの妄想癖

読んだ本の感想を雑に放ります(ミステリ多め)。超不定期更新です。

『傲慢と善良』 辻村深月

内容(amazonより引用)

婚約者・坂庭真実が姿を消した。その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。「恋愛だけでなく生きていくうえでのあらゆる悩みに答えてくれる物語」と読者から圧倒的な支持を得た作品が遂に文庫化。

 

 

感想(ネタバレなし)

※以下はネタバレ箇所を隠した感想です※

恋愛ミステリとは名ばかりの現代人虐殺小説。
今を生きる人の”傲慢と善良”をこれでもかと見せつけられ、読者は傷つかずにはいられないだろう。

マッチングアプリや結婚相談所を中心に、現在の婚活事情が詳らかにされるのだが、リアリティが非常に高い。
その上で明らかになるのは、人が人を選ぶこと、そのもの。
この人はここがダメだとかあの人はあれが足りないとか無意識に減点し、自分は棚に上げて勝手に評価を下す。
何様なのだろうか。

中盤のとあるシーンなんかが嫌さの極致で、もう隕石でも落ちてこの世界ごと滅びねぇかなと願ってしまった。
ただ、作品で提示される傲慢さは自分の善良さと結びついているからこそ、その願いはそのまま自分に刺さるのが一番嫌なところ。
ほんま素晴らしい作家はんどすなぁ。

己を見つめ直し、やり直すきっかけを与えてくれるような小説だった。
でもちょっと人の嫌な部分を強調しすぎてる気もするかな。

 

評価:7点

2023/12/4 読了

 

以下、ネタバレ箇所を含めた感想

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

感想(ネタバレあり)

恋愛ミステリとは名ばかりの現代人虐殺小説。
今を生きる人の”傲慢と善良”をこれでもかと見せつけられ、読者は傷つかずにはいられないだろう。

マッチングアプリや結婚相談所を中心に、現在の婚活事情が詳らかにされるのだが、リアリティが非常に高い。
その上で明らかになるのは、人が人を選ぶこと、そのもの。
この人はここがダメだとかあの人はあれが足りないとか無意識に減点し、自分は棚に上げて勝手に評価を下す。
何様なのだろうか。

中盤の女友達が暴露するシーンなんかが嫌さの極致で、もう隕石でも落ちてこの世界ごと滅びねぇかなと願ってしまった。
ただ、作品で提示される傲慢さは自分の善良さと結びついているからこそ、その願いはそのまま自分に刺さるのが一番嫌なところ。
ほんま素晴らしい作家はんどすなぁ。

と徹頭徹尾人間の負を見させられるが故に、ラストの展開が引き立つ。
相対的でもなく、点数も付けられない、真実。
これこそが愛なんだ!!!と言わんばかりの勢いで終わるのが、呆れもあり、それ以上に愛おしい。
お前、かっけぇよ......。

己を見つめ直し、やり直すきっかけを与えてくれるような小説だった。
でもちょっと人の嫌な部分を強調しすぎてる気もするかな。

 

下線部がネタバレ箇所です