内容(amazonより引用)
住野よるが贈る大人気「麦本三歩」シリーズ第一弾!
待望の文庫化好きなものがたくさんあるから、毎日はきっと楽しいー
図書館勤務の20代女子・麦本三歩のなんでもないけど
幸せな日々を描いた心温まる日常小説。
感想(ネタバレなし)
初・住野よる作品。
口語体のくだけた文が、ささやかな日常を描くという作品の在り方にあっていて、優れた作家であることが伺える。
一方で、個人的な相性は今一つか。
笑いの感性が合わないのか、おそらく笑わせようとしている場面でもニコリともできなかった。
何より三歩のキャラが腹立つ。
ドジっ子と言えば聞こえは良いものの、全体的にあざとすぎ。
特に頻繁にセリフを噛むのがウザいったらありゃしない。
その上謎に自己評価が高い点も共感できず、終始好きにはなれなかった。
ではつまらなかったのかと言えば、そうではない。
三歩の日常を追う最中で、ぼんやり浮かぶ考え方がユニークで、ハッとさせられることがしばしばあった。
「麦本三歩は君が好き」は展開もさることながら、三歩の出す答えの懐深さに驚いた。
おかしな先輩がメインの話も、誰もが抱えるような罪悪感をやさしく肯定していて好き。
とても身近なスケールで、些細な出来事に幸せを見出したり、ヒントを見つけたり。
そんなささやかさに、少し救われた。
評価:6点
2024/4/9 読了