立ち向かう振りの妄想癖

読んだ本の感想を雑に放ります(ミステリ多め)。超不定期更新です。

『僕の神さま』 芦沢央

内容(amazonより引用)

「知ってる? 川上さん、父親に殺されたらしいよ」僕が通う小学校で広がった、少女の死の噂話。川上さんは父親から虐待を受けていたが、協力を得られないまま転校したと聞いていた。しかも彼女の怨念が図書室の「呪いの本」にこめられたという怪談にまで発展する。日常のさまざまな謎を解決し、僕も「神さま」と尊敬する水谷くんは、噂の真相と呪いの正体に迫るが……。ラスト世界が反転する、せつないミステリー。

 

 

感想(ネタバレなし)

※以下はネタバレ箇所を隠した感想です※

”神さま”と呼ばれる小学生が事件を解決するミステリ、と聞くと某氏のトラウマ作品を思い出し、身構える読者は少なくないだろうが、こちらの神さまは良心的なので安心していただきたい。

とはいえ、扱うテーマは、登場人物の年齢に反して重い。
同級生が虐待を受けていると知ったとき、どうすればいいのか?
大人でも答えに困る問題に真正面から向き合い、もがく彼らの姿は痛ましくも眩しい。

著者本人が帯に書いているように、ホームズとワトソンの関係に着目してみると、本書の人物造形の細かさがより鮮明に捉えられる。
明晰な頭脳により、数々の謎を明かしてきた神さま。
そんな彼が○○だ。
そう明かすエピローグが見事であり、ほろ苦いラストシーンが、心にジワリと余韻を残す。

ジュブナイルの機微をミステリの枠組みにより写し取った、良作だった。

評価:7点

2024/4/3 読了

 

以下、ネタバレ箇所を含めた感想

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

感想(ネタバレあり)

”神さま”と呼ばれる小学生が事件を解決するミステリ、と聞くと某氏のトラウマ作品を思い出し、身構える読者は少なくないだろうが、こちらの神さまは良心的なので安心していただきたい。

とはいえ、扱うテーマは、登場人物の年齢に反して重い。
同級生が虐待を受けていると知ったとき、どうすればいいのか?
大人でも答えに困る問題に真正面から向き合い、もがく彼らの姿は痛ましくも眩しい。

著者本人が帯に書いているように、ホームズとワトソンの関係に着目してみると、本書の人物造形の細かさがより鮮明に捉えられる。
明晰な頭脳により、数々の謎を明かしてきた神さま。
そんな彼がただの人間であり、彼を完璧な存在としていたのは、間違いに見て見ぬふりをしてきた、他でもない主人公自身だ
そう明かすエピローグが見事であり、名探偵の小さくなっていく背をただ見つめるしかないほろ苦いラストシーンが、心にジワリと余韻を残す。

ジュブナイルの機微をミステリの枠組みにより写し取った、良作だった。

 

下線部がネタバレ箇所です