立ち向かう振りの妄想癖

読んだ本の感想を雑に放ります(ミステリ多め)。超不定期更新です。

『氷菓』 米澤穂信

内容(amazonより引用)

いつのまにか密室になった教室。毎週必ず借り出される本。あるはずの文集をないと言い張る少年。そして『氷菓』という題名の文集に秘められた三十三年前の真実──。何事にも積極的には関わろうとしない“省エネ”少年・折木奉太郎は、なりゆきで入部した古典部の仲間に依頼され、日常に潜む不思議な謎を次々と解き明かしていくことに。さわやかで、ちょっぴりほろ苦い青春ミステリ、登場! <古典部>シリーズ第1弾!!

 

 

感想(ネタバレなし)

※以下はネタバレ箇所を隠した感想です※

超有名作品に今更入門。日常ミステリの大家だけあってやはり面白い。

文集『氷菓』の謎を追う本筋がありつつ、各話でささやかだが魅力的な謎を解決する連作短編集としても読めるため満足度が高い。

登場人物も個性豊かで華がある。中でも主人公の奉太郎の人物像が絶妙。”省エネ”を標榜しつつも決してテンプレート的な青春を見下している訳ではない、このバランス感覚が見事で、所謂やれやれ系主人公という類型では語り切れない味を出していると思う。

ミステリとしては、古典部の面々がそれぞれ仮説を出し合い、討議する場面が良かった。こういう高校生活を送りたかったなァ...。

対する真相は、やや小粒ながらも、捻りの効いたもので味わい深い。

青春の華やかさと、その影が同居する良作で、次巻以降も読みたいと思った。

 

評価:6点

2023/8/4 読了

 

以下、ネタバレ箇所を含めた感想

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

感想(ネタバレあり)

超有名作品に今更入門。日常ミステリの大家だけあってやはり面白い。

文集『氷菓』の謎を追う本筋がありつつ、各話でささやかだが魅力的な謎を解決する連作短編集としても読めるため満足度が高い。

登場人物も個性豊かで華がある。中でも主人公の奉太郎の人物像が絶妙。”省エネ”を標榜しつつも決っしてテンプレート的な青春を見下している訳ではない、このバランス感覚が見事で、所謂やれやれ系主人公という類型では語り切れない味を出していると思う。

ミステリとしては、古典部の面々がそれぞれ仮説を出し合い、討議する場面が良かった。こういう高校生活を送りたかったなァ...。

対する真相は、やや小粒ながらも、捻りの効いたもので味わい深い。

普通壮大な陰謀とか、ひそかな恋心とかが隠されてると思うところでアレだもんな。嘘で塗り固められ、美化された物語の裏に潜む、生々しく悲痛な叫び。

青春の華やかさと、その陰が同居する良作で、次巻以降も読みたいと思った。

 

下線部がネタバレ箇所です