立ち向かう振りの妄想癖

読んだ本の感想を雑に放ります(ミステリ多め)。超不定期更新です。

『一つ屋根の下の探偵たち』 森川智喜

内容(amazonより引用)

“なまけものの探偵”と“働きものの探偵”、二人の探偵とハウスシェアを始めた新人エッセイストの浅間修は、苦しい経済状況を打破するために、同居人の探偵捜査についてルポルタージュを書くことに。そんなとき、雑誌に「アリとキリギリス事件」の記事を発見。奇妙な密室で男が餓死し、その床にはアリの巣のような穴があいていたという。対象の事件は決まった。しかしルポに採用されるのは、一人だけ。勝負を面倒がる探偵・天火隷介(てんかれいすけ)を、真面目な探偵・町井唯人(ゆいと)が説得し、二人は対決することに。果たして真相に到達するのは探偵(アリ)か探偵(キリギリス)か、それとも?
京都大学推理小説研究会出身の著者による探偵小説、はじまりはじまり!

 

 

感想(ネタバレなし)

なるほど。これはバカミスと言われても仕方ない。
とんでもなメイントリックに思わず声を出して笑った。

それまでの道のりは間違いなく堅実かつミステリだった。
現場でコツコツと捜査を重ねるアリ型の探偵と、足を使わず閃きのみで推理するキリギリス型の探偵の対比が面白い。
それぞれキャラが立っているし、事件のアプローチに個性が強く出ていて設定が存分に活かされている。
他にも大小様々な”アリとキリギリス”の関係が出てくるのが唯一無二の持ち味。

テンポよく犯人が分かり、地に足ついた推理が組み立てられ、後はメイントリックのみ。
だが奴は......弾けた。

いやいや、力業すぎるって!ありえないって!
バカミスという評を目にしていたから受け入れられたものの、何も知らない読者は本書を壁に投げつけるだろう。

個人的には結構好きだし、キャラも非常に魅力的だったので楽しめた。
普通に続編が読みたい。

 

評価:7点

2023/8/9 読了