立ち向かう振りの妄想癖

読んだ本の感想を雑に放ります(ミステリ多め)。超不定期更新です。

『愚者のエンドロール』 米澤穂信

内容(amazonより引用)

「折木さん、わたしとても気になります」文化祭に出展するクラス製作の自主映画を観て千反田えるが呟いた。その映画のラストでは、廃屋の鍵のかかった密室で少年が腕を切り落とされ死んでいた。誰が彼を殺したのか?その方法は?だが、全てが明かされぬまま映画は尻切れとんぼで終わっていた。続きが気になる千反田は、仲間の折木奉太郎たちと共に結末探しに乗り出した!さわやかで、ちょっぴりほろ苦い青春ミステリの傑作。

 

 

感想(ネタバレなし)

※以下はネタバレ箇所を隠した感想です※

シリーズ2作目にしてかなり凝った作りになっている。
製作半ばでストップしてしまった映画の結末を追うという謎がとにかく魅力的。
主人公の奉太郎の立ち位置も絶妙で、それぞれの推理が披露されてテンポよくへし折られていく奇抜な流れを作っている。

しかし、本番は奉太郎の本格参戦から。
主人公が依頼人の言葉で奮い立ち、快刀乱麻の推理を放って事件を解決。
まさしく王道の青春ミステリ......で終わらないのがこのシリーズ最大の持ち味。

真相もシンプルながら盲点で、してやられた感があって良かった。

等身大の高校生たちの思いが交錯する、短いながらも読み応えのある作品でした。

 

評価:7点

2023/10/17 読了

 

以下、ネタバレ箇所を含めた感想

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

感想(ネタバレあり)

シリーズ2作目にしてかなり凝った作りになっている。
製作半ばでストップしてしまった映画の結末を追うという謎がとにかく魅力的。
主人公の奉太郎の立ち位置も絶妙で、それぞれの推理が披露されてテンポよくへし折られていく奇抜な流れを作っている。

しかし、本番は奉太郎の本格参戦から。
主人公が依頼人の言葉で奮い立ち、快刀乱麻の推理を放って事件を解決。
まさしく王道の青春ミステリ......で終わらないのがこのシリーズ最大の持ち味。

意外性があり、瑕疵の無いように見えた推理が、友人の(しかもそれぞれの個性が強く出た)指摘によって破綻する。奉太郎のようにクールな主人公が普通は受けないような仕打ちで、それが型にはめられない人間味を生んでいると思う。
真相もシンプルながら盲点で、してやられた感があって良かった。

等身大の高校生たちの思いが交錯する、短いながらも読み応えのある作品でした。

 

下線部がネタバレ箇所です