立ち向かう振りの妄想癖

読んだ本の感想を雑に放ります(ミステリ多め)。超不定期更新です。

『妖異金瓶梅』 山田風太郎

内容(amazonより引用)

性欲絶倫の豪商・西門慶は8人の美女と2人の美童を侍らせ酒池肉林の日々を送っていた。彼の寵をめぐって妻と妾が激しく争う中、両足を切断された第七夫人の屍体が……超絶技巧の伝奇ミステリ!

 

 

感想(ネタバレなし)

※以下はネタバレ箇所を隠した感想です※

これは最早なんと言ったらいいのか.......。
時代を先取りするにも程があるだろ!?

冒頭の「赤い靴」からして凄まじい完成度の高さで、犯人当てから動機が分かるまでの流れがまぁ鮮やか。

 

各話で必ずミステリ的な驚きがあるし、伏線も必ず仕込まれている。
本当に60年前の作品なのか?10年前とかじゃなくて?

ミステリ史的に考えればとんでもなく先進的だし、それ抜きにしても大傑作。
山田風太郎恐るべし。

 

評価:9点

2023/3/19 読了

 

以下、ネタバレ箇所を含めた感想

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

感想(ネタバレあり)

これは最早なんと言ったらいいのか.......。
時代を先取りするにも程があるだろ!?

冒頭の「赤い靴」からして凄まじい完成度の高さで、犯人当てから動機が分かるまでの流れがまぁ鮮やか。

その時点である程度は察しがついた。
そう、この短編集は事件の真犯人が全て藩金蓮という趣向で統一されているのだ!
いや凄すぎない?だって初出が1950年代だぞ?60年以上前にこんなイかれた試みしているのおかしいでしょ!山田風太郎マジなんなの?

しかもただ奇抜なことに挑戦しただけでなく、出来も抜かりない。
各話で必ずミステリ的な驚きがあるし、伏線も必ず仕込まれている。
本当に60年前の作品なのか?10年前とかじゃなくて?

ミステリとしてだけでなく、藩金蓮を中心とした愛の物語として読むこともできる。
特に「凍る歓喜仏」、「女人大魔王」の2編はある種究極の愛と言える動機で、読んでいて唸った。

ミステリ史的に考えればとんでもなく先進的だし、それ抜きにしても大傑作。
山田風太郎恐るべし。

 

下線部がネタバレ箇所です