内容(amazonより引用)
ひき逃げで息子に重傷を負わせた男の素行調査。疎遠になっている従妹の消息。依頼が順調に解決する真夏の日。晶はある疑問を抱く(「静かな炎天」)。イブのイベントの目玉である初版サイン本を入手するため、翻弄される晶の過酷な一日(「聖夜プラス1」)。タフで不運な女探偵・葉村晶の魅力満載の短編集。
感想(ネタバレなし)
すっかり定番となった葉村晶シリーズ5作目。
葉村晶の優れたキャラは健在で、多々降りかかる理不尽に内心で毒を吐きながらも立ち向かう姿だけで十二分に面白い。
なのにその上、本格ミステリ的旨みがしっかり仕込まれているから凄い。
表題作は複数の事件が起きつつも、どう繋がるかが分からなくて読ませる。
そして肝心の真相は全く予想の外からくるもので驚かせてくれる。引用を用いた締め方も完璧。
「福島さんは言っている」は立てこもり犯が電話越しに話す事件を調べるというプロットが優れている。
緊迫した状況のはずなのに、どこかコントじみたコミカルさがあって笑ってしまう。
オチ含めてユーモアに満ちた良編。
一番好きなのがラストの「聖夜1プラス」。
短編の文量で可能な限りの不運を詰め込んだような作品で、終始ニヤつきながら読んでいた。
勿論運なんて不確かな言葉で済まさず、しっかり線で繋がるから素晴らしい。
もうすっかり僕はこのシリーズ、そして葉村晶のファンになった。
不運な女探偵に幸あれ。
評価:8点
2023/2/11 読了