立ち向かう振りの妄想癖

読んだ本の感想を雑に放ります(ミステリ多め)。超不定期更新です。

『書を捨てよ、町へ出よう』 寺山修司

内容(amazonより引用)

永遠の不良・寺山修司による家出のススメ

平均化された生活なんてくそ食らえ。本も捨て、町に飛び出そう。家出の方法、サッカー、ハイティーン詩集、競馬、ヤクザになる方法……、天才アジテーター・寺山修司の100%クールな挑発の書。

 

 

感想(ネタバレなし)

寺山の作品に触れるのは初めてだったが、中々面白かった。

本書は主にエッセイ8割、詩が2割くらいで構成されており、どちらを通しても著者のハングリーな信条を強く感じられる。
安定を捨て去り、何か一つ突き抜けたものを手にする”一点豪華主義”は、確かにジッドの『地の糧』のイデアに近い。

また、出てくる人物が、現実にいるのか疑わしくなる程に個性的だ。
片目の馬に賭け続ける萩さんの話は、最後の一行に痺れた。

性や自殺といった、普通は不健全なものとして封殺されそうな話題をクールに話しているのも特徴の一つと言える。
「サッカーはタマが大きいから流行っている」なんてことを真面目に、しかもカッコよく書けるなんて、並大抵のことではない。

独特な考え方を、キレのある文章で味わえる、良いエッセイだった。

 

評価:7点

2024/2/29 読了