内容(amazonより引用)
惑星ソラリス――この静謐なる星は意思を持った海に表面を覆われていた。惑星の謎の解明のため、ステーションに派遣された心理学者ケルヴィンは変わり果てた研究員たちを目にする。彼らにいったい何が? ケルヴィンもまたソラリスの海がもたらす現象に囚われていく……。人間以外の理性との接触は可能か?――知の巨人が世界に問いかけたSF史上に残る名作。レム研究の第一人者によるポーランド語原典からの完全翻訳版
感想(ネタバレなし)
古典の名作SFということで、当たり前に難しい。
地球外生命体との接触を図る、俗に言う”ファーストコンタクトもの”の礎となった作品らしい。それにしては完成されすぎている。
高度な知性を持つとされている「海」を解析したソラリス学はディティールを凝りに凝っている。
物質の組成とか、習性など、とにかく詳らかに記述されるため、正直ほとんど頭に入っていない。
だが、面白く読めないわけではなく、海により再現された、主人公がかつて亡くした恋人のハリーを巡るストーリーがとても好みだった。
所謂、哲学におけるスワンプマンを地で行くもので、理屈と心の狭間で葛藤した末に出した彼らの結論が、非常に人間的で良かった。
それだけに、その辺が割とあっさり切り上げられたのは残念でならない。
しかも最終盤にある怒涛の文献が一番キツくて、テンションダダ下がり。
でもやっぱり地球外生命体と人間というテーマでこれだけ先進的な答えを昔に出しているのは凄いし、読む価値はあるなぁと思う。
評価:7点
2024/3/3 読了