立ち向かう振りの妄想癖

読んだ本の感想を雑に放ります(ミステリ多め)。超不定期更新です。

2023年を振り返って

今年は普段手を出さないジャンルや作者の本に手を伸ばせた年だった。

とあるバンド、思い切って名前を出してしまえばヨルシカの、影響をガッツリ受けてそれまでは殆ど読んでこなかった文学作品をいくつか読んだ。
老人と海』、『アルジャーノンに花束を』は本当に読めて良かったと思う。
前者は人間の素晴らしさに触れられて感動したし、後者では人間の醜さを突きつけられて辛かった。
どちらも、名作という点で相違なし。実は得たものを失うという点で大筋が似ているのに、これまで抱く印象が違うのも興味深かった。(←両作のネタバレなので透過)


『地の糧』や『幸福な王子』なんかは、このきっかけがなければ一生読まなかったかもしれない。
そう考えると不思議な感慨があるし、出会いに人は変えられるのだなぁと少し悟ったようなことまで思ってしまう。

 

国内でも芥川龍之介三島由紀夫宮沢賢治と、名のある文豪の作品を読めて良かった。
もう遠い昔に亡くなっているからこそ、その人生自体が刻み込まれているようで、現役の作家を読むのとはまた違った味わいがあった。
特に宮沢賢治の崇高さは凄い。
誰かの役に立ちたいという純粋な気持ちが文章に滲み出ていて、本当に偉大な人だったことが察せられる。

 

もちろん、文学作品だけでなく、去年までと同様に大衆作品も多く読んだ。
ミステリで言えば『火蛾』『同姓同名』『蝉かえる』がベスト3かな(どれも今年の新刊じゃないけど)。
火蛾は(ほとんど読まないけど)幻想ミステリの一つの完成形だった。文庫の新品で買えるようになって本当に良かったと思う。
同姓同名はその名の通り期待通りの趣向で、予想を何回も裏切ってくれた。ミステリ御殿を建てる為に貯金を投げ打つような作家が書いただけあるぜ。
しかし何と言っても蝉かえるが一番。珠玉とも言える短編集。本格ミステリと人間描写をこれほどまで高いレベルで両立している作品は中々ないだろう。
あと早坂吝の『しおかぜ市(以下略)』もめちゃ良かった。早坂氏は大胆なことをしてくれるミステリ作家なので、今後も贔屓にしたい。

千載一遇の機会に購入へ踏み切った『堕天使拷問刑』を今年中に読めなかったのが今年最大の気がかり。
年始か、それが無理なら年度末あたりに読みたいが、余裕ないかも......。時間をくれーーー。

ミステリ外だと『スモールワールズ』が良かった。
人間心理を鋭く捉えつつ、根底では人の温かみが常に流れる。どちらも両立しなければ現れないような説得力があって、傑作だった。
著者である一穂ミチの作品はもっと読みたい。

来年は、心理的ハードルが下がった純文学を継続して読むことが目標。
具体的には梶井基次郎とか遠藤周作、阿部公房あたりを読もうかなと。
SFあたりにも手を出したいが、如何せん波長が合わないんよな~。
ミステリはまあ、意識しなくても読むでしょ。

あとノンフィクションも読む数を増やしたいと考えている。
識者の本を読めば、それが文学作品の補助線となり、より作品を深く理解できるだろうし。
講談社ブルーバックス等の科学書を読むのも面白そうだ。

今年のまとめはこんなところだろうか。
最後に、数字としての記録も残しておこう。

 

読了数:52冊

10点:3冊(5.7%)

  9点:8冊(15%)

  8点:12冊(23%)

  7点:14冊(27%)

  6点:4冊(8%)

  5点:1冊(2%)

  4点:0冊

  3点:0冊

  2点:0冊

  1点:0冊

  0点:0冊

なし:10冊(19%)

 

うーん、やっぱり全体的に高いな。
いい本と出会えているという意味では喜ばしいことだが、読書ブログとしては参考にならないのではと不安になる。

院試やら就活やら出張やらなんやらでクソ忙しい年に50冊を超えられたのは良かった。
我ながら上出来。

しかし、院生や社会人はこれ以上に忙しくなると思うと辛い。
どうにかして読書もブログも続けていきたいとは思っているが......、やっぱ高等遊民になるしかないのか。

あとこうして記事を振り返っていて感じたが、読書履歴を読み返すのにすげぇ便利だねこれ。
アクセス数は乾いた笑いが出る位に少ないけど、それでも続けられるモチベが見つかって良かった。
......それはそれとして、PVはもう少し増えてほしいね。

以上、終わり。
では、(読んでくれる方がいらっしゃるか知れたものではないが)みなさん良いお年を。