立ち向かう振りの妄想癖

読んだ本の感想を雑に放ります(ミステリ多め)。超不定期更新です。

『雪国』 川端康成

内容(amazonより引用)

親譲りの財産で、きままな生活を送る島村は、雪深い温泉町で芸者駒子と出会う。許婚者の療養費を作るため芸者になったという、駒子の一途な生き方に惹かれながらも、島村はゆきずりの愛以上のつながりを持とうとしない――。冷たいほどにすんだ島村の心の鏡に映される駒子の烈しい情熱を、哀しくも美しく描く。ノーベル賞作家の美質が、完全な開花を見せた不朽の名作。

 

 

感想(ネタバレなし)

※以下はネタバレ箇所を隠した感想です※

ノーベル文学賞を受賞しただけあって、文章がとにもかくにも美しい。
超有名な一文目に始まり、雪に閉ざされた静謐な世界が、清冽な筆運びにより描かれる。

夕暮れ時の鉄道の窓に映る葉子、杉の葉に滴る雪解け水、アフォリズムに富んだ島村の台詞。
どれを取っても美術品のように精巧だが、その中でも一際美しいのが今作のヒロインにあたる駒子だ。

彼女の外貌が優れたものであることは、子細に述べられている。
しかしながら美の本質は、駒子の生き方そのものにある気がしてならない。
芸者として周りから浮きつつ身をやつす駒子に、島村は”徒労”と評しながらも、強い魅力を感じている。
雪のような肌に時折覗かせる赤み。
その生物的な熱が、冷たい世界でより映える。
二人の恋愛描写は実に上品で、著者のことを勝手に助平な小説を書く人だと誤解していた己を恥じた。マジスマン。

途切れるような最後の一行さえ美しい。

自分が想像していた文学作品に最も近く、とってもツボだったので、他の作品も是非読みたい。

 

評価:なし(文学作品のため)

2023/12/31 読了

 

以下、ネタバレ箇所を含めた感想

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

感想(ネタバレあり)

ノーベル文学賞を受賞しただけあって、文章がとにもかくにも美しい。
超有名な一文目に始まり、雪に閉ざされた静謐な世界が、清冽な筆運びにより描かれる。

夕暮れ時の鉄道の窓に映る葉子、杉の葉に滴る雪解け水、アフォリズムに富んだ島村の台詞。
どれを取っても美術品のように精巧だが、その中でも一際美しいのが今作のヒロインにあたる駒子だ。

彼女の外貌が優れたものであることは、子細に述べられている。
しかしながら美の本質は、駒子の生き方そのものにある気がしてならない。
芸者として周りから浮きつつ身をやつす駒子に、島村は”徒労”と評しながらも、強い魅力を感じている。
雪のような肌に時折覗かせる赤み。
その生物的な熱が、冷たい世界でより映える。
二人の恋愛描写は実に上品で、著者のことを勝手に助平な小説を書く人だと誤解していた己を恥じた。マジスマン。

唐突なカタストロフにより、途切れるような最後の一行さえ美しい。

自分が想像していた文学作品に最も近く、とってもツボだったので、他の作品も是非読みたい。

 

下線部がネタバレ箇所です