内容(amazonより引用)
夢に現れた不思議な出来事を綴る「夢十夜」、鈴木三重吉に飼うことを勧められる「文鳥」など表題作他、留学中のロンドンから正岡子規に宛てた「倫敦消息」や、「京につける夕」「自転車日記」の計6編収録。
感想(ネタバレなし)
超有名な文豪の作品ということで難解な作風を懸念していたが、思いの外ゆるくて所々笑いながら読めた。
「京に着ける夕」は小説ではなくエッセイの方が近い。
漱石の友人でもあった俳人正岡子規とのちょっとしたエピソードに頬が緩む。
ぜんざいを食べたことがないとか、夏蜜柑を分けてもらったとか、極些細な思い出が、子規の逝去への哀愁に繋がり、とても切ない。
表題作の「夢十夜」はタイトル通り、夢で見た十の物語を掌編集にした一作。題材が夢なだけあって、その作風も色とりどり。
個人的には、幻想的でラストシーンが美しい第一夜と、ヴァイタリティの高さが謎の面白さを生んでいる第六夜が好みだけど、どれも面白い話だった。
最後の「自転車日記」は漱石がイギリスで自転車に乗ろうとする、本当にそれだけの話だがユーモラスで笑える。
硬めの文体で阿呆なことを宣う手法は夏川草介や森見登美彦のそれで、彼らの根底にあるものが覗けたようで少し嬉しかった。
案外楽しく読めたので他の作品にも触れたい。
評価:なし(文学作品のため)
2023/10/3 読了