君はすっかり読んでしまったら、この本を捨ててくれ給え。そして外へ出給え——。語り手は、青年ナタナエルに語りかける。「善か悪か懸念せずに愛すること」「賢者とはよろずのことに驚嘆する人を言う」「未来のうちに過去を再現しようと努めてはならぬ」。二十代のジッドが綴った本書は、欲望を肯定し情熱的に生きることを賛美する言葉の宝庫である。若者らの魂を揺さぶり続ける青春の書。
感想(ネタバレなし)
とある契機があり、普段絶対手にしないであろう本作を読んだが......全く分かりませんでした。
終始ナタナエルという人物(読者を指すと思われる)に向けて語り掛ける体で進んで行き、何の説明もされぬまま未知の人名が飛び交い続けてさっぱりピーマン。
間に詩も挟まり、難解さは指数関数的に上昇する。
気分はさながら、大学の10回目あたりの講義を聴いてる不勉強な学生のよう。
実際聖書に関した名前が頻繁に使われているらしいので、聖書のレッスンを受けていない僕が内容を理解できないのも無理はない。うん、きっとそう。
ただ、本書を通して一番言いたい事であろう「書を捨てよ、街へ出よう」の概念は伝わったし、読者に近い距離で話そうとする著者の情熱も感じられたと思う。
そもそも本書は小説ではなく、思想書やエッセイに属する作品なのでこの気持ちを抱ければ十分......かな?
本を捨てようとは思わないけれど、少し遠くに目をむけてみるのも悪くないかもね。
評価:なし(文学作品のため)
2023/10/1 読了