立ち向かう振りの妄想癖

読んだ本の感想を雑に放ります(ミステリ多め)。超不定期更新です。

『アンデッドガール・マーダーファルス4』 青崎有吾

内容(amazonより引用)

輪堂鴉夜が、生首でも、不死でもなかった時代。
偉大なる師と共に過ごした黄金の日々。
今や彼女の他にそれを知るものは天の星のみ。

 

感想(ネタバレなし)

アニメ化も果たした人気特殊設定ミステリの第4巻は番外編的位置づけの短編集。
今まで詳細に描かれてはいなかったメインキャラたちの過去が明るみとなる。

「輪る夜の彼方へ流す小笹船」では鴉夜さんが不死になるいきさつが、「鬼人芸」では津軽が半人半鬼と化すまでの経緯が明らかとなり、読者の大方が気になっていた問いに答えが与えられる。
同時にもの凄い勢いで風呂敷を広げているが、それが設定の整理に繋がっているのも流石。

今まで内面の描写が少なかった静句の胸の内を知れる「言の葉一匙、雪に添え」が最も好み。
鴉夜への愛の重さに説得力が増した。
雪の情景に重ねて刻まれる最後の告白は、凍り付くほど美しい。
津軽に対する感情も嫉妬の一言では表現しきれないくらい複雑なんだろうなぁ。

満を持していつもの設定ミステリに返り咲く「人魚裁判」はこのシリーズの短編として文句なしの出来。

鳥籠使い一行がとても好きだったので、様々な一面を知れて良かった。
アニメも面白かったし、続きが待ち遠しい。

 

評価:7点

2023/9/20 読了