立ち向かう振りの妄想癖

読んだ本の感想を雑に放ります(ミステリ多め)。超不定期更新です。

『煌夜祭』 多崎礼

内容(amazonより引用)

生物も住めぬ死の海に浮かぶ十八諸島。“語り部”たちが島々を巡り集めた物語を語り明かすため、年に一度、冬至の晩に開かれる煌夜祭。今年もまた、“語り部”が語り始める。人を喰らう恐ろしくも美しい魔物の物語を。夜が更けるにつれ、物語は秘められた闇へ…。第2回C・NOVELS大賞受賞作に書き下ろし短篇「遍歴」を収録。

 

 

感想(ネタバレなし)

※以下はネタバレ箇所を隠した感想です※

全く耳にしたことのない作者だったがとても面白かった。分類すればファンタジーになるものの、現実離れした要素は不死の怪物のみなのでファンタジーを読まない人間でも違和感なく入り込める。

仮面を被った語り部同士が交互に物語を語り合う形式が秀逸。そして何より素晴らしいのが第5話から終わりにかけての展開だろう。タイトル通り戦争が描かれる訳だが、筆力も十分でとても短編には思えない厚みがある。なのにまだ終わりじゃない!

6話以降多段に仕込まれた仕掛けが連鎖的にさく裂して痺れた。
(○○)と思っていたけどここまでやってくれるとは思わないじゃん(歓喜)。
○○を最後に明かすことで、物語をこれ以上ない形で終わらせてくれる。新人とか抜きにめちゃくちゃ完成度の高い傑作だった。

知らない優良作家がまだまだいるんだろうなぁ......。

 

評価:9点

2022/11/15 読了

 

以下、ネタバレ箇所を含めた感想

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

感想(ネタバレあり)

全く耳にしたことのない作者だったがとても面白かった。分類すればファンタジーになるものの、現実離れした要素は不死の怪物のみなのでファンタジーを読まない人間でも違和感なく入り込める。

仮面を被った語り部同士が交互に物語を語り合う形式が秀逸。そして何より素晴らしいのが第5話から終わりにかけての展開だろう。まずそれまで出てきたキャラ達が再登場してくれるのが嬉しい。タイトル通り戦争が描かれる訳だが、筆力も十分でとても短編には思えない厚みがある。なのにまだ終わりじゃない!

6話以降多段に仕込まれた仕掛けが連鎖的にさく裂して痺れた。
いくらでも叙述れるなこの設定)と思っていたけどここまでやってくれるとは思わないじゃん(歓喜)。特にガヤン=姫の性別誤認トリックが見事。接点を最後に明かすことで、物語をこれ以上ない形で終わらせてくれる。新人とか抜きにめちゃくちゃ完成度の高い傑作だった。

知らない優良作家がまだまだいるんだろうなぁ......。

 

下線部がネタバレ箇所です