立ち向かう振りの妄想癖

読んだ本の感想を雑に放ります(ミステリ多め)。超不定期更新です。

『名探偵のいけにえ』 白井智之

内容(amazonより引用)

奇蹟 VS 探偵!
ロジックは、カルトの信仰に勝つことができるのか?

病気も怪我も存在せず、失われた四肢さえ蘇る、奇蹟の楽園ジョーデンタウン。
調査に赴いたまま戻らない助手を心配して教団の本拠地に乗り込んだ探偵・大塒は、次々と不審な死に遭遇する。
奇蹟を信じる人々に、現実世界のロジックは通用するのか?
圧巻の解決編一五〇ページ!
特殊設定、多重解決推理の最前線!

 

 

感想(ネタバレなし)

注意:本作は一部『名探偵のはらわた』を読んでいることを前提とした要素を含んでいます。大部分は知らなくても楽しめますが、できれば『名探偵のはらわた』の方を先に読むことを推奨します。

※以下はネタバレ箇所を隠した感想です※

すごい!すごい!すごすぎる!

『はらわた』の感想で今後が一層楽しみと書いたがこれ程までとは......。

今作は『はらわた』と同じ、現実に起きた宗教団体の集団自殺をプロットとしたミステリになっている。

序盤の○○ページは言わば前振りの立ち位置なのだが、そこだけでもミステリとして楽しめてしまうのが抜かりない。

テンポよく事件が起こり、宣伝通り残り150ページで白井氏お得意の多重解決の解決編が始まる。これが凄まじい。

○○でさえ、趣向を上手く利用した面白い推理である。
○○の推理は非常に説得力があった。特に○○が巧すぎてこれを超える推理があるのかと呼んでいる間心配になった。

しかし、全くの杞憂だった。

混沌の中にある真実が、緻密な伏線により紡がれる。
これだよ、俺はこの快感の為にミステリを読んでいるんだよ!

ラストページのサービスも最高。
読者の心を操る術を身に着けた白井智之に、最早死角はない。

 

評価:10点

2022/11/8 読了

 

以下、ネタバレ箇所を含めた感想

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

感想(ネタバレあり)

すごい!すごい!すごすぎる!

『はらわた』の感想で今後が一層楽しみと書いたがこれ程までとは......。

今作は『はらわた』と同じ、現実に起きた宗教団体の集団自殺をプロットとしたミステリになっている。

序盤の80ページは言わば前振りの立ち位置なのだが、そこだけでもミステリとして楽しめてしまうのが抜かりない。

テンポよく事件が起こり、宣伝通り残り150ページで白井氏お得意の多重解決の解決編が始まる。これが凄まじい。

一つ目でさえ、趣向を上手く利用した面白い推理である。
それをひっくり返す第2の推理は非常に説得力があった。特に乃木の死体を利用したトリックが巧すぎてこれを超える推理があるのかと呼んでいる間心配になった。

しかし、全くの杞憂だった。

全ての幻想を打ち砕く、強烈すぎる第3の、”余所者の推理”。
混沌の中にある真実が、緻密な伏線により紡がれる。
これだよ、俺はこの快感の為にミステリを読んでいるんだよ!

ラストページの『はらわた』を読んだ人だけへのファンサービスも最高。
読者の心を操る術を身に着けた白井智之に、最早死角はない。

 

下線部がネタバレ箇所です