立ち向かう振りの妄想癖

読んだ本の感想を雑に放ります(ミステリ多め)。超不定期更新です。

『赤い博物館』 大山誠一郎

内容(amazonより引用)

警視庁付属犯罪資料館、通称「赤い博物館」の館長・緋色冴子はコミュニケーション能力は皆無だが、ずば抜けた推理力を持つ美女。そんな冴子の手足となって捜査を行うのは、部下の寺田聡。過去の事件の遺留品や資料を元に、難事件に挑む二人が立ち向かった先は――。
予測不能なトリック駆使、著者渾身の最高傑作! TVドラマ原作

 

 

感想(ネタバレなし)

未解決の事件を、窓際に追いやられた刑事と、キャリアで美人の上司が解決に導くという、あまりにコッテコテな設定だが、そこからは考え付かないほどキレッキレの短編揃いで驚いた。

一見地味でなんの仕掛けもなさそうな事件が、真相を語られた途端にその様相が一変する。
しかもそれらを5編全てでやってのけるから凄い。

「復習日記」は、犯人の残した手記とわずかな聞き込みのみで展開される傑作。
現実味は薄いが、たった一つの描写から、○○が変わってしまうトリックが凄まじい。
事件の裏に潜む愛憎も含め、読み応え抜群の一編。

マイベストは「死が共犯者を別つまで」。
交通事故に遭った男が、死に際に自白した交換殺人を突き止めるというプロットの時点でめちゃくちゃワクワクするのだが、その期待をしっかり超えてきてくれる。
時効を過ぎた事件を解く意味も作り込んであり、抜かりなし。
一時間の刑事ドラマっぽい設定(現にドラマ化された)から、ド本格のミステリを楽しめる、素晴らしい短編集だった。

 

 

評価:8点

2025/3/7 読了

 

以下、ネタバレ箇所を含めた感想

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

感想(ネタバレあり)

未解決の事件を、窓際に追いやられた刑事と、キャリアで美人の上司が解決に導くという、あまりにコッテコテな設定だが、そこからは考え付かないほどキレッキレの短編揃いで驚いた。

一見地味でなんの仕掛けもなさそうな事件が、真相を語られた途端にその様相が一変する。
しかもそれらを5編全てでやってのけるから凄い。

「復習日記」は、犯人の残した手記とわずかな聞き込みのみで展開される傑作。
現実味は薄いが、たった一つの描写から、犯人の順序が変わってしまうトリックが凄まじい。
事件の裏に潜む愛憎も含め、読み応え抜群の一編。

マイベストは「死が共犯者を別つまで」。
交通事故に遭った男が、死に際に自白した交換殺人を突き止めるというプロットの時点でめちゃくちゃワクワクするのだが、その期待をしっかり超えてきてくれる。
時効を過ぎた事件を解く意味も作り込んであり、抜かりなし。

一時間の刑事ドラマっぽい設定(現にドラマ化された)から、ど本格のミステリを楽しめる、素晴らしい短編集だった。

 

下線部がネタバレ箇所です