立ち向かう振りの妄想癖

読んだ本の感想を雑に放ります(ミステリ多め)。超不定期更新です。

『楽園とは探偵の不在なり』 斜線堂有紀

内容(amazonより引用)

二人以上殺した者は文字どおり地獄に堕とされる世界。探偵の青島を常世島で待っていたのは、起きるはずのない連続殺人事件だった

 

 

感想(ネタバレなし)

※以下はネタバレ箇所を隠した感想です※

非常に丁寧なつくりの特殊設定ミステリ。

”2人以上殺すと地獄行き”のルールが課せられた世界という設定がまず面白い。
主人公・青岸の回想を通じて、天使発生による動乱が描かれるのだが、どれも人間心理に基づいており、世界観の屋台骨がしっかり支えられている。

それと同時に、青岸を失意に落とした”事件”が語られるのだが、バッドエンドと決まった青春小説を読んでいるようで何とも辛かった。

並行して現代では王道的なクローズド・サークルの殺人事件が起きる。
こちらは淡々と進み、気づけば解決編へ。

なるほど、制約があるからこそ生まれる盲点を上手くついたトリックの数々。

エピローグも、探偵の存在意義を確かめるような締め方で良い。
王道を踏襲した、堅実な良作だった。

阿津川辰海も探偵の失意と再起をテーマにしていたが、最近の流行りだろうか?

 

評価:7点

2023/4/7 読了

以下、ネタバレ箇所を含めた感想

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

感想(ネタバレあり)

非常に丁寧なつくりの特殊設定ミステリ。

”2人以上殺すと地獄行き”のルールが課せられた世界という設定がまず面白い。
主人公・青岸の回想を通じて、天使発生による動乱が描かれるのだが、どれも人間心理に基づいており、世界観の屋台骨がしっかり支えられている。

それと同時に、青岸を失意に落とした”事件”が語られるのだが、バッドエンドと決まった青春小説を読んでいるようで何とも辛かった。

並行して現代では王道的なクローズド・サークルの殺人事件が起きる。
こちらは淡々と進み、気づけば解決編へ。

なるほど、制約があるからこそ生まれる盲点を上手くついたトリックの数々。
中でも穴に天使を詰めたという物理トリックは意外性があって面白かった。

エピローグも、探偵の存在意義を確かめるような締め方で良い。
王道を踏襲した、堅実な良作だった。

阿津川辰海も探偵の失意と再起をテーマにしていたが、最近の流行りだろうか?

 

下線部がネタバレ箇所です