内容(amazonより引用)
被害者は一瞬で首を捻られ、殺された。殺し屋の名は、首折り男。テレビ番組の報道を見て、隣人の“彼”が犯人ではないか、と疑う老夫婦。いじめに遭う中学生は“彼”に助けられ、幹事が欠席した合コンの席では首折り殺人が話題に上る。一方で、泥棒・黒澤は恋路の調査に盗みの依頼と大忙し。二人の男を軸に物語は絡み、繋がり、やがて驚きへと至る! 伊坂幸太郎の神髄、ここにあり。
感想(ネタバレなし)
これは連作というよりはオムニバスに近い短編集だろう。
”首折り男”は大半の章で名前が挙がるが、まともな出番は最初の2話だけだし、連作らしい仕掛けも特に見当たらない。
では、オムニバス短編集としてはどうなのかと言えば、伊坂らしくひねりが効いたものばかりで面白い。
冒頭の一篇からして”首折り男に似ている男”を中心とした、オフビートな物語が展開され、先を読めない。
終わってみれば作者らしい友愛の話になっているから不思議である。
「僕の舟」が個人的に好きな一篇で、強引すぎるタイトル回収に笑った。少し切ない読後感もまた良し。
そして一番良かったのが「合コンの話」。
タイトル通り合コンの話で、それ以上でもそれ以下でもないのだが書き方がめちゃくちゃ面白い。
Q&A方式だったり心の声を併記したりとやりたい放題。
ふざけた調子で進むのにしっかり伏線回収もしてくれるのが流石である(もはや職業病の域だな)。
実験的で、新鮮味のある短編集だった。
評価:7点
2022/12/14 読了