立ち向かう振りの妄想癖

読んだ本の感想を雑に放ります(ミステリ多め)。超不定期更新です。

『モネのあしあと』 原田マハ

内容(amazonより引用)

マネ、ドガルノワール。誰もが知る「印象派」だが、モネの《印象―日の出》が「印象のままに描いた落書き」と酷評されたのがはじまりだ。風景の一部を切り取る構図、筆跡を残す絵筆の使い方、モチーフの極端な抽象化など、まったく新しい画法で美術界に旋風を巻き起こしたモネ。その波乱に満ちた人生を、アート小説の旗手が徹底解説。

 

 

感想(ネタバレなし)

実在の画家を登場人物に据えた小説を多く書く著者による、モネの解説書。

モネの人生をその生い立ちから仔細に描く......というよりかは、モネに関する知識を易しくまとめたといった趣き。
そのため、既にモネに親しんでいる人よりかは、「有名な画家という事くらいしか知らない」程度の人の方が、面白く読めると思う。
かく言う私も、芸術の知識はからきしなので、とても興味深く読めた。

当時の画壇に、”練られた構図の繊細な絵”こそ最も価値のあるものだという風潮があり、そのカウンターとしてモネらの印象派が頭角を現したという時代の流れがあったことを知れたのが為になった。

また、モネの人生もざっとだが知ることができた。
一般的なイメージの”画家”とは少し異なって、温かみのある人柄なのが意外だった。

モネへの親しみと興味を湧かせる一冊だった。
言及されていた著者の小説、「ジヴェルニーの食卓」も是非読みたい。

 

評価:7点

2025/1/18