立ち向かう振りの妄想癖

読んだ本の感想を雑に放ります(ミステリ多め)。超不定期更新です。

『冬季限定ボンボンショコラ事件』 米澤穂信

内容(amazonより引用)

小市民を志す小鳩君はある日轢き逃げに遭い、病院に搬送された。目を覚ました彼は、朦朧としながら自分が右足の骨を折っていることを聞かされる。翌日、手術後に警察の聴取を受け、昏々と眠る小鳩君の枕元には、同じく小市民を志す小佐内さんからの「犯人をゆるさない」というメッセージが残されていた。小佐内さんは、どうやら犯人捜しをしているらしい……。冬の巻ついに刊行。

 

 

感想(ネタバレなし)

小市民シリーズの完結編(あと一冊出るらしいが)となる、”冬期”。
冒頭から小鳩君が車に轢かれるというショッキングな始まり方をするのだが、そこからずっと続く入院生活がとにかく痛ましい。
以前まで見せて(しまって)いた推理力も、余裕なふるまいも失くした主人公の姿は、目をそらしたくなるほど不憫だ。

その現在と呼応するように回想される過去の事件では、読者が待ちわびていた、小鳩君と小山内さんの出会いが描かれる。

正直、ミステリとしてはそれほど驚くべき点はない。
”車が消える”というメイントリックも、「まぁそうか」くらいの真相だった。

しかし、長きに亘るシリーズの完結作として見れば、これ程まで素晴らしいものもそうないだろう。
小鳩君が小市民を目指していた胸の内が明かされるラスト数ページがもうね......!
○○としみじみ思ったし、それに対する小山内さんの言葉がもうやさしすぎる。

青春の痛さを乗り越えた先にある、素晴らしい景色を見せてもらいました。
数年前からの浅い付き合いだけど、このシリーズを読めて良かった。

ありがとう小鳩くん、小山内さん。
小市民よ、永遠なれ!

 

評価:8点

2024/12/31 読了

 

以下、ネタバレ箇所を含めた感想

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

感想(ネタバレあり)

小市民シリーズの完結編(あと一冊出るらしいが)となる、”冬期”。
冒頭から小鳩君が車に轢かれるというショッキングな始まり方をするのだが、そこからずっと続く入院生活がとにかく痛ましい。
以前まで見せて(しまって)いた推理力も、余裕なふるまいも失くした主人公の姿は、目をそらしたくなるほど不憫だ。

その現在と呼応するように回想される過去の事件では、読者が待ちわびていた、小鳩君と小山内さんの出会いが描かれる。

正直、ミステリとしてはそれほど驚くべき点はない。
”車が消える”というメイントリックも、「まぁそうか」くらいの真相だった。

しかし、長きに亘るシリーズの完結作として見れば、これ程まで素晴らしいものもそうないだろう。
小鳩君が小市民を目指していた胸の内が明かされるラスト数ページがもうね......!
君はそんなにも人間だったのか、としみじみ思ったし、それに対する小山内さんの言葉がもうやさしすぎる。
やさしい通り越して𝑳𝑶𝑽𝑬じゃん......。
𝑩𝑰𝑮 𝑳𝑶𝑽𝑬じゃん......!

青春の痛さを乗り越えた先にある、素晴らしい景色を見せてもらいました。
数年前からの浅い付き合いだけど、このシリーズを読めて良かった。

ありがとう小鳩くん、小山内さん。
小市民よ、永遠なれ!

 

下線部がネタバレ箇所です