『巴里マカロンの謎』 米澤穂信
内容(amazonより引用)
ここにあるべきではない四番目のマカロンの謎、マスタードが入った当たりのあげパンの行方。なぜかスイーツがらみの謎に巻き込まれがちな、小鳩君と小佐内さんの探偵行。「小佐内先輩が拉致されました! 」「えっ、また」?お待たせしました、日々つつましく小市民を目指す、あの互恵関係のふたりが帰ってきます。人気シリーズ11年ぶりの最新刊、書き下ろし「花府シュークリームの謎」を含めた番外短編集。四編収録。
感想(ネタバレなし)
激動の夏、緩衝の秋を経て、今回は非常に平和なエピソード群。
いや、普通に軽犯罪が横行してはいるんだが。
ミステリとしても全体的に小粒ではあるが、それ故に日常の謎としての魅力や、見せ方の上手さがいつもより際立って感じられる。
表題作は、三つのはずだったマカロンが、四つに増えてしまうという謎が面白い。
限られた情報から、深く深くと推し進める推理もこのシリーズらしい、良いものだった。
「紐育チーズケーキ」は、新キャラも交えた文化祭の描写が純粋に楽しい。
後輩ができてまんざらでもなさそうな小山内さんにじわる。
真相に関しては概ね想像通りではあるものの、少しひねりが利いていて良かった。
ラスト一行には戦慄。
ミステリとしては「花府シュークリームの謎」が白眉か。
フーダニットの切れ味が抜群で、真相に唸った。
あと、小鳩君の唐突な(芋粥かな?)のツッコミがツボだった。
こういう文学ネタで笑えると、少し嬉しいな。
小休止的な位置づけではあるものの、読んで損はしない短編集だった。
さぁ、いざ『冬』へ!
評価:7点
2024/12/27
