立ち向かう振りの妄想癖

読んだ本の感想を雑に放ります(ミステリ多め)。超不定期更新です。

『あとかた』 千早茜

内容(amazonより引用)

実体がないような男との、演技めいた快楽。結婚を控え“変化”を恐れる私に、男が遺したもの(「ほむら」)。傷だらけの女友達が僕の家に住みついた。僕は他の男とは違う。彼女とは絶対に体の関係は持たない(「うろこ」)。死んだ男を近くに感じる。彼はどれほどの孤独に蝕(むしば)まれていたのだろう。そして、わたしは(「ねいろ」)。昏(くら)い影の欠片が温かな光を放つ、島清恋愛文学賞受賞の恋愛連作短編集。

 

 

感想(ネタバレなし)

最近、確信に至ったのだが、僕は性愛が主軸となる恋愛をテーマとした文学作品がめっきり苦手だ。
物語の半分くらいが不倫とセックスで構成されているんじゃないかってくらい、むせかえるほどの爛れた恋愛模様ばっか見せられて、正直うんざりした。

肉体関係をねっとり描けば”オトナな恋愛”になるんだからいいもんですよね。
でも、僕みたいなお子ちゃまには何が面白いのかさっぱり分かりません(>_<)。

そんな色好みが主役の話には辟易とさせられる一方で、性愛の要素が薄い話には共感できるから不思議なものだ。
「てがた」の主人公が抱える虚無感への恐れはとても身近に思えたし、「ねいろ」で”正しさ”と”恋愛”が噛み合わせが悪いものとして描かれているのもとても納得できる。

実のところ性愛も、当事者になればそれら同様に受け入れられるかもしれない。
そんな日は来ないだろうが。

 

評価:なし(文学作品のため)

2024/10/29 読了