立ち向かう振りの妄想癖

読んだ本の感想を雑に放ります(ミステリ多め)。超不定期更新です。

『#真相をお話します』 結城真一郎

内容(amazonより引用)

私たちの日常に潜む小さな"歪み"、
あなたは見抜くことができるか。

家庭教師の派遣サービス業に従事する大学生が、とある家族の異変に気がついて……(「惨者面談」)。不妊に悩む夫婦がようやく授かった我が子。しかしそこへ「あなたの精子提供によって生まれた子供です」と名乗る別の〈娘〉が現れたことから予想外の真実が明らかになる(「パンドラ」)。子供が4人しかいない島で、僕らはiPhoneを手に入れ「ゆーちゅーばー」になることにした。でも、ある事件を境に島のひとびとがやけによそよそしくなっていって……(「#拡散希望」)など、昨年「#拡散希望」が第74回日本推理作家協会賞を受賞。そして今年、第22回本格ミステリ大賞にノミネートされるなど、いま話題沸騰中の著者による、現代日本の〈いま〉とミステリの技巧が見事に融合した珠玉の5篇を収録。

 

 

感想(ネタバレなし)

SNSパパ活、YouTuberと、極めて現代的なトピックを題材に採りつつ、それらを巧みにミステリへ落とし込んだ好短編集。
どれも真相自体は読みやすいものの、構成が良いので気にならない上、ひねりも効いていて楽しめる。

「惨者面談」は、家庭教師の営業に向かった家が明らかに異様というシチュエーションからして面白い。
まぁこういうことなんだろうなと悟ったところから、予想外のサプライズがあるのも嬉しい。

「三角奸計」はリモート飲み会に着目する時点で何かやってくれる感満載なのだが、その期待通り大胆な事をしでかしてくれる。
オチの一言も決まっている。

そして唯一真相が読めなかった「#拡散希望」がまぁ凄い。
バカミス一歩手前のような展開を笑えないのは時代の因果か。

野心に溢れ、実力も十分な若き俊英の今後に期待大だ!

 

評価:7点

2024/10/16