立ち向かう振りの妄想癖

読んだ本の感想を雑に放ります(ミステリ多め)。超不定期更新です。

『なぜ働いていると本をよめなくなるのか』 三宅香帆

内容(amazonより引用)

「大人になってから、読書を楽しめなくなった」「仕事に追われて、趣味が楽しめない」「疲れていると、スマホを見て時間をつぶしてしまう」……そのような悩みを抱えている人は少なくないのではないか。
「仕事と趣味が両立できない」という苦しみは、いかにして生まれたのか。
自らも兼業での執筆活動をおこなってきた著者が、労働と読書の歴史をひもとき、日本人の「仕事と読書」のあり方の変遷を辿る。
そこから明らかになる、日本の労働の問題点とは?
すべての本好き・趣味人に向けた渾身の作。

 

 

感想(ネタバレなし)

少し前にSNS等で話題を集めた一冊。
生活が慌ただしくなり、趣味に割く時間が減る中、藁にも縋る思い.......は言い過ぎだが、やや期待を寄せて読んだ。

労働と読書の関係を、明治時代から現代に至るまでなぞっていくというのが大筋。
歴史に疎い人間なので、知らない単語や時代背景が多くあり、それらを追っていくだけでも興味深い。
特に自己鍛錬を目的とした”修養”と、知識を得ること自体を目的とした”教養”という、二つの概念が面白かった。
また、本をインテリアの一種として売り出すとか、冴えないサラリーマンが『痴人の愛』に自己投影したりと、今の時代と変わらないところも多くあって笑ってしまう。

そして読書の価値を明かし、労働により本が読めなくなる原因を突き止める.......、までは良かったのだが、その解決策は、う~ん。
それはそうなんだけど、現実問題難しいんじゃないかと感じてしまう。
まぁともあれ、誰でも心置きなく趣味に没頭できる時間を十分確保できる社会にはなってほしいですよね。

 

評価:7点

2024/10/13 読了