立ち向かう振りの妄想癖

読んだ本の感想を雑に放ります(ミステリ多め)。超不定期更新です。

『地雷グリコ』 青崎有吾

内容(amazonより引用)

ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説!

射守矢真兎(いもりや・まと)。女子高生。勝負事に、やたらと強い。
平穏を望む彼女が日常の中で巻き込まれる、風変わりなゲームの数々。罠の位置を読み合いながら階段を上ったり(「地雷グリコ」)、百人一首の絵札を用いた神経衰弱に挑んだり(「坊主衰弱」)。次々と強者を打ち破る真兎の、勝負の先に待ち受けるものとは――ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説、全5篇。

 

 

感想(ネタバレなし)

複数の文学賞を受賞し、直木賞候補にまで登り詰めた本作。

特筆すべきはオリジナリティに溢れたゲームの数々。
”任意の段に地雷を埋め込んだグリコ”や”歩数を先に指定するだるまさんが転んだ”など、聞くだけで「何それ、面白そう」と興味が湧くようなゲームばかり。

また、ルールが設定されていて、その裏を突くトリックがオチで明かされるという手法は完全に特殊設定ミステリのそれだ。
なのでミステリ感覚でも楽しめる。

個人的に好きだったのが「自由律ジャンケン」で、オリジナルの手がどんな効果か読めないのが楽しかった。
種明かしも鮮やか。

あと、主人公が対決している横であーだこーだキャラが解説し合うのがスポーツ漫画とかギャンブルマンガでよく見るやつそのもので面白かった。
新妻さんの強キャラ感好き。

とまぁ面白くはあったのだが、これだけ熱狂的に人気を獲得する作品かと言われれば、そうでもないような。
個人的には、キャラもストーリーも、ミステリとしての強度も『アンファル』の方が優れているように思えた。
世間の人気と、個人の好きが一致しないことなど、いくらでもあるとはいえ、モヤっとする。

 

評価:7点

2024/7/12 読了

 

おまけ

QuizKnockが作中のゲームの一つである「自由律ジャンケン」を再現していて、面白かったので貼っておく。

 

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須貝さんのノリが堂に入っててツボ。
こんな風に映像化したら状況を整理しやすいし、ライアーゲームみたいな感じでドラマ化されたら面白いだろうなー。