内容(amazonより引用)
小市民たるもの、日々を平穏に過ごす生活態度を獲得せんと希求し、それを妨げる事々に対しては断固として回避の立場を取るべし。賢しらに名探偵を気取るなどもってのほか。諦念と儀礼的無関心を心の中で育んで、そしていつか掴むんだ、あの小市民の星を! そんな高校2年生・小鳩君の、この夏の運命を左右するのは〈小佐内スイーツセレクション・夏〉!? 待望のシリーズ第2弾。解説=小池啓介
感想(ネタバレなし)
※以下はネタバレ箇所を隠した感想です※
完結編である冬季が刊行され、アニメも今夏より放映される人気シリーズの第二弾。
春期を読み、ある程度小鳩君と小山内さんの悪癖......もとい性格を理解した上でなされるキャラの掛け合いがとにかく楽しい。
「シャルロットだけは僕のもの」なんかは、二人の知恵比べというシチュエーションだけで面白いし、妙な緊張感もあって入り込んだ。
一応連作短編集の体を成しているが、中身はほぼ長編である。
終わりの2編では大小様々な伏線を拾い、ミステリとして盛り上げつつ、このシリーズにおける重要な分岐点が描かれる。
前々から感じていたのだが、米澤穂信は主人公に容赦しない。
小鳩君や奉太郎のような一歩引いた主人公は、作者の願望が反映されやすく、物語内で常に間違わず、凡人を見下ろす存在として描かれがちだと思う(偏見)。
しかし、米澤穂信はそれを許さない。
彼らの○○は崩れ落ちた。
二人は、果たして今後どんな道を歩むのか。
わたし、気になります。
評価:7点
2024/7/3 読了
以下、ネタバレ箇所を含めた感想
感想(ネタバレあり)
完結編である冬季が刊行され、アニメも今夏より放映される人気シリーズの第二弾。
春期を読み、ある程度小鳩君と小山内さんの悪癖......もとい性格を理解した上でなされるキャラの掛け合いがとにかく楽しい。
「シャルロットだけは僕のもの」なんかは、二人の知恵比べというシチュエーションだけで面白いし、妙な緊張感もあって入り込んだ。
一応連作短編集の体を成しているが、中身はほぼ長編である。
終わりの2編では大小様々な伏線を拾い、ミステリとして盛り上げつつ、このシリーズにおける重要な分岐点が描かれる。
前々から感じていたのだが、米澤穂信は主人公に容赦しない。
偏見だが、小鳩君や奉太郎のような一歩引いた主人公は、作者の願望が反映されやすく、物語内で常に間違わず、凡人を見下ろす存在として描かれがちだと思う。
しかし、米澤穂信はそれを許さない。
彼らの「小市民になりたい」という虚飾は、互恵関係の解消と共に崩れ落ちた。
甘すぎる居場所を失った二人は、果たして今後どんな道を歩むのか。
わたし、気になります。
下線部がネタバレ箇所です