内容(amazonより引用)
賢くて可愛いAI 探偵が悪の組織と本格推理対決。
人工知能の研究者だった父が、密室で謎の死を遂げた。「探偵」と「犯人」、双子のAI を遺して――。高校生の息子・輔は、探偵のAI・相以とともに父を殺した真犯人を追う過程で、犯人のAI・以相を奪い悪用するテロリスト集団「オクタコア」の陰謀を知る。次々と襲いかかる難事件、母の死の真相、そして以相の真の目的とは! ? 大胆な奇想と緻密なロジックが発火する新感覚・推理バトル。
感想(ネタバレなし)
人工知能×ミステリというよく分からない組み合わせだが、そこは流石早坂吝、組み込み方が巧みである。
”フレーム問題”や”不気味の谷”といったITの分野でよく聞く単語が、表層だけでなく、プロットにしっかり絡んでくるのがユニークで面白い。
大筋も、父の形見である人工知能とバディを組んで、悪の組織と戦うという、ボビーアニメを思い出させる良い意味で王道的なものであり、読みやすい。
ミステリとしては、まぁ無難か。
全体的に物理トリックに無理があって、無粋とは分かっているがツッコみたくなる。
一方で、AIならではの思考がトリックやロジックとして反映されている話は出来が良く、第三話の「不気味の谷」なんかは動機の反転が美しかった。
ラストの「中国語の部屋」も素晴らしく、著者らしいゲーム形式の変則ミステリで意表を突いてくれる。
シリーズの一作目としては上々の滑り出しだったので、次巻以降もぜひ読みたい。
評価:7点
2024/5/24 読了